クラウド化する世界
原題 The Big Switch ,原著を読むのをためらっているうちに,邦訳版が出た。
ラッキー・・・。

情報処理技術の発展史を電気インフラの発展史と重ねる視点は興味深い。
電気技術の黎明期,電気は個々の企業,あるいは事業所が自前で発電し,生産活動に利用していたが,後に利用者が増加することにより「規模の経済」を確立,巨大な発電設備を構築することにより,電力利用者のより一層の拡大を見た。これにより家庭にも安価で安定した電気が供給可能となる。
これをそのまま情報処理技術の発展史にソートさせると,従来は個々の企業がコンピュータシステムを構築し,運営してきたが,昨今の利用者の急激な増加に伴い「規模の経済」を確立,電気でいうところの巨大な発電設備と同様,統合化されたデータ処理プラントがインターネットという共有グリッドからサービスを提供するように変化してきているという論理展開。
電気インフラ技術と情報処理技術の共通項は汎用技術であること,且つ集中化ができること。なるほど。。。
ただひとつ疑問に思うのは電気はエネルギー技術であり,コンピューティングはあくまで情報処理技術であるということ。電気と同様のユーティリティと考えてしまっていいものか。
本書では生産活動は「物質の操作」から,「記号,言語,数,イメージの操作」へと移行していくとある。あるいは今後,情報処理技術はエネルギーと同価となるほどの変容を見せるのか。
確かに,統合化されたデータ処理プラントがインターネットという共有グリッドからサービスを提供する傾向はあり,今後更に拡大化するだろう。
実際のところ本書にあるとおり,Google は消費者向けの You Tube や Blogger から,企業向けの Google Apps の提供を始め,コンピューティングユーティリティの範囲を拡大させているし,salesforce.com や NETSUITE の取り組みも面白い。自分の仕事の周辺でも SaaS をどのようなコンセプトで確立,提供し,利益を上げるのかを議論する機会が増えてきた。でもこれらはコンピューティングの話であって,エネルギー資源ほどホットな話題とは言えないかな。
自分の日常生活のレベルで求めるクラウドコンピューティングはなにか,考えてみたところプロセッサよりもストレージだった。
友人と飲みながら,オンラインストレージにある家族や他の友人の近況画像を見せる。次の週末のプランについて web で調べ,予約する・・・従来の web の使用と変わらない。いまのところ日常生活では,グリッド化されたプロセッサは必要ないか。
どちらかというと必要なのは,いまやキーワード自体が陳腐化している「ユビキタス」性であって,意外と i-Phone のようなガジェットなのかもしれない。
エネルギーである電気技術は床の埃も吸引できるし,ケーキも焼ける。情報処理技術はいまのところ情報しか処理できない。
生産活動が「物質の操作」から,「記号,言語,数,イメージの操作」へと移行していく過程,予測?を示して欲しかった。。。とはいえ,多くの事例,引用に満たされており,興奮しつつ一気に読了。やるなあニック・・・。
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